審査員勉強会 2016年10月
今年の1月から、毎月行われているISO審査員の勉強会に顔を出してます。
その審査員グループは、大手認証機関と契約している審査員集団です。
また、審査の一方でISOコンサルタントも並行して行っています。
メンバーは、だいたいが審査員ですから高齢の方が多いです。
東京、大阪、九州の三拠点で活動していて、総勢15から20名。
ISO9001と14001の審査員の方で構成されています。(中に大学の教授が数名と、審査員をリタイアして執筆活動してる人がいます)
去年の更新審査に来られた方がここの方で、私の名刺に刷られた「審査員補」の文字を見て「審査員になりませんか?」と誘いを受けたのがきっかけです。
それ以降、その誘いに乗った私は審査員を目指しているわけですが、それに向けてこのメンバーの方々に全面的にサポートしてもらってます。(ちなみに、審査員と現業との二束のわらじについては会社公認です)
そして今日はその勉強会に行ってきました。
審査員といっても、ほとんどの方がサラリーマン経験者(ほとんどが定年を過ぎてます)ですから、知識は相当豊富です。
また、年齢こそ高いですが、現役で審査員をされてるわけですから、みなさんハキハキキビキビしてます。
今日のテーマは、審査後の被審査企業へのアンケートで、先方から審査側にはいったクレームの対応に関すること。
それと、2015年度版への移行審査を実際やってみての感想や注意点。
そういったことを中心に三拠点で意見交換。
あとは、コンサルタント業務についての業務連絡。
最後に、11月に私が受ける審査員教育へのアドバイス。
現在、私は、その"大手認証機関”と契約すべく面接試験をパスしたところです。
この11月の第一週に5日間にわたる審査員教育を受け、その後は実際の審査に同行して、ベテラン審査員の見守る中で実際の審査を行い(4回ほどらしい)、それにパスしてようやく正式な審査員となります。
恐らく私はこの方々の力で、遅かれ早かれ審査員になるでしょう。
このメンバーを見てると、私の力じゃなくとも、このメンバーの力で審査員にしてもらえそうな気がしますから。
ISO14001:2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
トップマネジメントは、次に示す事項によって、環境マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
a) 環境マネジメントシステムの有効性に説明責任を負う。
b) 環境方針及び環境目的を確立し、それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実にする。
c) 組織の事業プロセスへの環境マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
d) 環境マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。
e) 有効な環境マネジメントシステム及び環境マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
f) 環境マネジメントシステムがその意図した成果を達成されることを確実にする。
g) 環境マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し、支援する。
h) 継続的改善を促進する。
i) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管理層の役割を支援する。
注記 この国際規格で“事業”という場合、それは、組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。
この項目は、2004年度版の内容とほぼ同じです。
2004年度版では「トップの役割」として独立していませんでしたが、言ってることに大きな違いはないです。
ただ、ここに書いていることはトップがやるべきことではなく、実証する、又は、責任を負う項目だということがポイントです。
つまり、運用は他人任せでもかなわないわけです。
ISO14001については環境担当役員が監督すればいいし、ISO9001は品質担当役員なり製品担当役員であってもいいわけです。
それらを含めた全責任をトップは負うべきで、それをa)の“説明責任”という言葉で表現しています。
a)からi)の結果を含め、ここでの要求事項に対するまとまった記録は作成する必要はありません。
強いて言うなら、マネジメントレビューの記録とトップインタビューでのコメント、さらには普段のトップの振る舞いによって判断することになるでしょう。
やはり温暖化は進んでるようです
最近よく訪問するScientific American のHPに「ハワイのマウナロア観測所での2016年9月のCO2濃度が400ppmを超えた」という記事がありました。
通常、大気中のCO2濃度は、一年を通して9月が低くなる傾向にあるそうです。
その理由は、夏(北半球)に繫茂した植物のおかげで炭酸浄化作用が活発になるからです。
しかも、これから秋にかけては落葉の季節。
光合成による炭酸浄化の勢いは衰え、浄化されないCO2によって大気中の濃度は上昇していきます。
というわけで、一年で一番いい数字がでるこの季節ですら400ppmを下回ることがなかったわけです。
データの出所であるマウナロア観測所のHPを覗いてみました。
メモリのないこのグラフでは具体的な数値は読み取ることはできませんが、全体的に右肩上がりであることはわかります。
この右上がり基調は下がることはないと、Scientific America の記事でも断定的な言い方をしていました。
ちなみに、下のグラフはJAXAが出している温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」によるデータです。
2015年12月のデータ、つまり条件的に不利な月のデータで400.2ppmとなっていますから、2016年の春先に向けてさらに上昇し、4月あたりからガクンと下がり始めていることでしょう。
400ppmで大騒ぎをしているわけですが、そもそも”400”という数値はどういう意味があるのか?
400ppmを越えたら地球はどうなるのか?
調べたところ、単に”400”という数字が、キリがいいからみたいです。
では、いったいどれくらいまでCO2濃度は上がるのか?
そして、上がりきったときには何が起きるのか?
これには諸説あります。
上にグラフは、地球環境研究センターの2013年8月号のニュースからの抜粋です。
ただ、このような高濃度社会がどのような社会なのかについては、具体的な記述がなく「今後は、ますます温暖化が激しくなる」としか書いていませんでした。
なんだか、少し歯切れが悪いですね。
コンゴの紛争鉱物問題 次なるフェーズに対して
ヒューライツ大阪が主催する紛争鉱物に関する映画上映会に行って来ました。
仕事がら紛争鉱物のことについては少々の知識はありました。
また、取引先からの調査依頼もあったので、フランク・ドット法への具体的な対応方法についても知ってはいました。
しかし、今回の上映会でまた新たな知見を得ることができました。
というか、今までの知識が、ほんの一部でしかなかったことがわかり、定時ダッシュで参加したかいがありました。
紛争鉱物問題とは、簡単にいうと、コンゴ共和国で採れるタングステンやタンタルといった希少鉱物に対するボイコット運動の話です。
高値で取引される希少鉱物は、内戦における非政府軍の資金源になっているわけです。
非政府軍は、労働者を脅して強制的に採掘させたり、採掘組合をそのまま乗っ取って売上げを横流しさせたりして、非人道的な手段で資金を得ます。
その資金で武器を買い内戦を繰り返すといわれています。
これに対して、アメリカの証券取引所が法を制定して、不正ルートで入手した希少金属を排除しようとしたのがフランク・ドット法です。
これを機に世界がこの問題に注目し、さまざまな取り組みが打ち出された結果、コンゴ産の希少金属の需要は激減するに至りました。
取り組みが功を制したわけですね。
そして今、新たな問題が起きているそうです。
今まで鉱物資源を売ることを生業としていた真っ当な人たちの生活が、需要がなくなったことで立ち行かなくなるという事態です。
今回の上映を主催しているNPO法人の方たちは、そういった「その後の問題」への対応に力を入れているそうです。
つまり、自給のための農業指導や洋裁の技術指導といった自立のための支援です。
また、それこそが日本が支援できることだと言っていました。
※日本で使用される電気部品に入ってる希少鉱物は、もともと正当なルートで入手していたものがほとんどであったため、第一フェーズ(不買運動)はあまりインパクトを与えていなかった。
ISOはSDG'sの支援ツールという考え方
第39回のISO総会が北京で開催されたそうです。
その中で、昨年の9月に発行されたISO14001の改定作業に携わったテクニカル・コミッティおよびサブ・コミッティに対して、ローレンス・D・アイッカー賞が贈られました。
ISO事務総長のケビン・マッキンレー氏は、
「ISOが設立されてからのこの20年間、ISO14001は組織の環境活動を支援してきました。そして、これからも30万以上の組織を支援すると同時に、国連が掲げるSDG'sを支えていきます」
と、賞賛のコメントを述べています。
ISO 14001 experts win technical excellence award (2016-09-13) - ISO
CSR担当の私としては、国連の掲げるSDG's、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)、ISO14001やISO26000をはじめ複数のISOマネジメントシステム、こういったものがどういう関係なのか非常に悩ましいところでした。
今回のマッキンレー氏の言葉では、”SDG'sのサポートツールのひとつ”ということなので、ISO14001などのISO規格の裏にはSDG'sがあると考えればいろいろと理解しやすくなりますね。
ちなみに、習近平国家主席はこの総会に向けて、「ISOは世界共通言語になりつつある」とコメントしたそうです。
経済成長に翳りがみえはじめた中国が"環境"をあらたな発展の糧としている様子は、去年のパリ会議で見せた積極的な姿勢からも伺い知ることができますね。
EUに加えてアメリカと中国の二大巨頭が環境ビジネスに本腰を入れ始めました。
経済規模でいうと地球の8割を超えます。
すなわち、今まで脇役だった”環境”が経営の中心を担うようになる日が、今まさに到来しているということです。
ISO認証の本質を理解せずにカタチだけの環境活動をしていた企業は、この”サスティナブル社会”という津波に洗い流されることになるでしょう。
それくらい凄いことが、今起きているのです。
Chinese President calls standards "common language of the world" (2016-09-12) - ISO
進む環境破壊
23%
国際自然保護連合(IUCL:International Union for Conservation of Nature)の調査に関するScientific American (2016.sep.12)の記事によると、地球上に残された手付かずの土地、つまり、動植物が自由に暮らすことができる太古からの原生林などのエリアは、地球上の全地表面積の23%だそうです。
しかも、そのほとんどがアフリカ中央部と南米。
このエリアは年々激減しています。(この20年間で10%減少)
とくに南米が顕著で、アフリカ中央部の原生林が14%減少する間に、南米ではその1/3が失われています。
このままでいくと、この先1世紀の間にはゼロになってしまうだろうと、この記事では警鐘を鳴らしています。
一方、こんな記事もあります。(同じくScientific American 2015.june.1より)
1990年から2010年の間に地球上の62%の熱帯雨林が消滅する中で、ブラジルは環境規制と密林での大豆栽培を禁止することで、2004年から2011年にかけて森林破壊を抑制したそうです。
しかし、2014年の8月からは、前年に比べて2倍の森林伐採が行われました。
そのうち70%が牧草地に利用されているとのこと。(牛肉の需要が増えている)
また、ブラジル大統領ジルマ・ルセフは、アマゾン川に水力発電用のダムと高速道路の建設を計画しているだけでなく、違法伐採に対して寛容な態度をとっているそうです。
つまり、今のブラジルは、環境よりも経済を優先する方向に向いているということ。
こういった開発によって地球規模の気候変動が起こります。
アマゾン東部と南部ではサバンナ化が進み、それが大都市サンパウロでの干ばつの原因にもなっている可能性があるとか。
また、アメリカのシエラネバダでの降雪量が例年の半分になり、それが農業にも影響を与えるといったことについても書かれています。
先進国の発展の裏には、後進国がその代償を担ってきたという事実があります。
今ようやく発展に向かおうとしたところで、”環境”を理由に、開発にストップをかけられたのでは、ブラジル国民にとってはたまったものではないでしょう。
とはいえ、アマゾンは地球の重要な緑地資源です。
一国の政治によって地球環境が左右されることがないよう、監視を強化していく必要があります。
Photo:Googl map
日本が飢餓解消に向けて22億円の支援
2016年9月9日付の国連WFPニュースによると、日本政府は困難な状況におかれている人々に対し国連WFPが行っている11カ国への食糧・栄養支援活動に対して、22億2千万円をアフリカ10カ国とスリランカに対して拠出金として提供したそうです。
ちょうどタイミング的には、先月8月27日のケニア・ナイロビでのTICADにあわせた感じですね。
ただ、このニュースはあまり報道されてなかったと思います。
人道支援とはいえ、経済的や政治的にいろいろな思惑があってのことだとは思いますが、せっかく税金から投入しているわけですから、国民に対してうまく伝えていくべきでしょうね。
日本、アフリカの飢餓解消に向け国連WFPの栄養事業を支援 | 国連WFP
ではここで、飢餓問題について少しまとめてみたいと思います。
今、世界の9人に1人が飢餓に苦しんでいるといわれています。
とはいえ、食糧自体は地球全体で余っています。
ではなぜ飢餓が起こるのでしょうか?
原因は、いくつかあるようです。
1.経済的に貧しいから食糧が買えない(輸入できない)
2.交通インフラが不十分なため、食糧が安定的に供給されない
3.電力インフラの整備が進んでいないことで、食糧の保存ができない
4.地球温暖化に伴う気候変動によって農産物が安定的に生産できない
5.植民地時代の名残りで農業用地が輸出用の作物の生産にあてられている
6.農業用水が不足している
などなど。
数年前には、バイオエタノールといったバイオ燃料が脚光浴び、その結果とうもろこしなどが投機対象となって穀物全体の価格が上昇しました。
また、温暖化による異常気象に農業技術が対応しきれていないという問題もあります。
もちろん、アフリカやアジアの貧しい国で起こっている人口増加も抑制していく必要があります。
詳しくは、特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールドのHPで確認ください。
飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD