持続可能な未来に向けて

主にサステナビリティに関することを書いていきます。

「未来をつくる資本主義」 その1

スチュアート・L・ハート著『未来をつくる資本主義』から

社会や環境の問題が企業運営に深く影響するようになるにつれ、会社の業績と社会的パフォーマンスは必ずしも切り離して考えるべきではないことに経営者たちは気付いていった。それまでは、まず事業によって利益を生み出し、社会貢献活動などを通してその利益を社会に還元しようとしていたが、このように企業活動を二段階に分ける必要はもうない。かつて事業と社会貢献活動の間にあった見えない壁は取り払われ、NGOとの連携、戦略的社会貢献活動などそれまでにないさまざまな社会的事業が提案され始めた。(P35)

 従来からの営利追求のための事業と社会貢献活動を切り離して考える時代ではなくなってきた。

 

企業はこれまで発展途上国の豊富な安い労働力を利用し、富裕層の需要に応えるということを長い間続けてきた。しかし、真の持続可能なグローバル企業と呼ばれるには、世界全体の経済、社会、環境に同時に利益をもたらす競争力のある企業戦略を追求し、実践しなければならない。(P41)

 そして、これからの企業は、地球的視野に立って「経済の発展」「社会秩序の維持」「地球環境の保全」、これら三つを同時に実現して、地球の持続的発展に向けて社会をリードしていく必要がある。

 

企業が環境保護以外に取り組むべき問題は、第一に、もともとクリーンな性質を持った新技術(再生可能エネルギー、生体材料、無線ITなど)の開発、第二に、経済ピラミッドの頂上にいるわずか八億人ではなく、地球上の全六十五億人に資本主義の恩恵を行き渡らせることだ。(P42)

また、その方向性は、クリーンエネルギーの開発と、それらの世界全体への普及でる。

 

グローバル化の波、多国籍企業の発展、大陸をまたぐ国際的サプライチェーンによって、国家政府の力は失われてしまった。代わりにNGOや市民団体が社会基準や環境基準を監視し、ときには強化する役割を担い始めている。(P47)

多国籍企業の世界経済に占める割合が大きくなり、国家による統治力が弱くなるに従って、国際的な監視・調整役としての役割をNPOなどが担いつつある。

 

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「経済」「社会」「環境」この三つを同時に実現することが、持続可能な発展に向けてこれから社会が取り組むべきことだというこの概念こそがCSVでいわれてることですね。

この考え方を背景から知りたい人には、『未来をつくる資本主義』はもってこいだと思います。

 

つづく