MBAの説明会に行って思ったこと
いきなりですが、
MBAは起業する人向きですね。
ビジネススクールでは、マネジメントの知識は身につくでしょう。
ディスカッションによってより実践的なことも学べるでしょう。
そういったスキルが、今の日本の、いわゆるフツーのサラリーマンに必要かといわれると「ノー」だと思います。
会社は、表向きはそういう”経営者目線”をもった社員を歓迎します。
実際、言われたことだけを盲目的にする社員よりも、問題の本質を的確に捉え、課題を設定し、その解決に向けてさまざまな方法を提案し実践できる社員のほうが経営の役に立ちます。
とくに、昨今のように経営環境が以前と比べて大きく変化しているうえに、IT技術の進展が著しい状況においてはなおさらです。
しかし、それはあくまでも表向き。
実際、そんなマネジメントのプロがきたら会社としては迷惑な場合もあります。
日本は、戦後からめざましい発展をしてきました。
一時はアメリカに次ぐ世界第二位の経済力を持っていました。
その姿は、今や発展途上国が経済発展する上でのモデルにもされます。
それくらい順調に、かつ劇的に成長してきたのは、一方で、目指すモデルが明確にあったことと、日本はもともと技術力があったし日本人も勤勉でポテンシャルそのものは大きかったこと、それに加えて世界全体において発展の余地があったことがあったわけです。
しかし、それも1990年代初頭のバブルがはじけるまでのこと。
それ以降は、日本経済は基本的には横ばい基調。
その原因は、世界経済においてマーケットフォロワーからマーケットリーダーへと立場が変わったにも関わらず、日本の企業社会が体制の変換をしきれていないからだといわれています。
しかも、まだその転換をできずにいる企業が多い。
中には
いつかはまたあの時代がやってくる
と思っている(「あの時代がやってこないと困る」と思っている)企業も存在する。
かつてのそういう時代、つまり、経済成長率が3%以上(2%の経済成長率で「正常な発展」とした場合)のインフレ経済下では決まったものをがむしゃらに作ればよかったわけで、ルールに従ってキッチリ作業をこなすことが求められてきました。
当然、軍隊のような統制が功を奏するし、鬼軍曹みたいな人が要職についてたりします。
そんな体制が未だに色濃く残る旧態依然の会社(当然、今の経済環境についていけずに業績も低迷、もしくは、そこまでいかなくても、組織内は沈滞ムードが漂っている会社)に、MBA社員が来たところで使いこなせるわけがない。
それどころか、従来からのその会社の常識とは逆のことを言い出すわけですから、厄介者扱いされることは必至です。
ベテラン鬼軍曹が若手参謀を使いこなせないのはあたりまえ。
しかも、そういった会社は、人事評価も基準が曖昧で、
「君が言うことは正しいけれで、それを実行するには他部署の了解が必要だし、部門長もそれぞれの立場があるし・・・」
と、せっかくの提案が実践できずに終わります。
当然、人事評価にも結びつかないといった事態になります。
MBAを取ったけど使えない
ということになるでしょう。
会社のほうも、
MBAを採用したけど、結局は使えなかった
というわけです。
もう、外資系に転職するか起業するか、ですね。(中には、日系企業でも開かれた会社はありますが・・・)
実際、昨日の説明会でお話されてた方は、住友商事からハーバードのビジネススクールに留学し、卒業後は住友商事に戻り1年働いて、その後に自ら起業されたそうです。
とはいえ、これからはMBA的なスキルをもった人は必要だと思います。
とくに、会社で経営側のポジションに就こうという人は。
もちろん、起業する場合にはあったほうがいいと思います。
何事においても、定石を知っていたほうが強いですからね。