ISO14001:2015 4.1 組織及びその状況の理解
4.1 組織及びその状況の理解
組織は、組織の目的に関連し、かつ、その環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない。こうした課題には、組織から影響を受ける又は組織に影響を与える可能性がある環境状況を含めなければならない。
この4.1は、短いながらも難解です。
書いてることはわかるんだけど、いざ、これをもとに仕組みを作るとなると、何をしていいのかわからない。
ただ、唯一の救いは、文書化の要求がないということ。
ですから、この4.1については、トップマネジメントや事務局といったシステム上のキーマンの頭の中で対応すればいいわけです。
とはいえ、さすがにそれでは審査のときに困るので、キッチリと整理せずともある程度はメモ的に残しておくべきでしょう。
ではここで、規格の文章を平たい文章で言い換えてみます。
会社などの組織は、経営理念や経営方針から落とし込まれた長期や中期の経営計画、その経営計画の中の環境に関する部分について、その目標の達成に影響を与えるであろう外部と内部の課題を決定しなければならない。課題を決定するにあたっては、社会環境(自然環境や経済環境など)の変化、事業環境の変化によって生じる環境影響も含まなければならない。
こうしてみると、いくぶんわかりやすくなったのではないでしょうか?
この要求に応えようとするなら、環境に関連した項目が経営計画に挙がっていることが前提となるのがわかります。逆にいうと、汚染予防にそれほど気を使う必要がなかったり、環境保護や環境改善に向けた取り組みを経営戦略に組み込んでいない場合は、あえてISO14001に取り組む必要はないわけです。
「ウチは事務が主体だから環境汚染はあまり意識しなくていい」
「省エネして経費を圧縮していくのは大事だけど、そもそも使う量がしれてるし・・・」
というところがムリにISO14001に取り組もうとすると、目的意識も薄く組織のマインドも低いわけですから、結果的にはISO14001の活動そのものが目的になって、“しくみに振り回される”ということになってきます。
「なんでISOやるの?」
「トップが言うからしょーがないだろ」
「めんどくせーなー」
となって、審査前に
「こんなことして意味あるの?」
といいながらバタバタと帳尻合わせの書類を作るわけです。
本題にもどります。
では、具体的にやることをみていきます。
経営戦略の中の“環境戦略”について、その目標達成を阻害する要因を考えます。
その際に、気候変動、人口変動、為替変動、政策による経済環境の変化、ライバル企業の動向、業界の動向、社員の高齢化、設備の老朽化、近隣住民の声、自治体の動き、そういったものが環境戦略にどのような影響を及ぼすかを、あらかじめ話し合っておくことです。
SWOT分析や5フォース分析を使う企業もあるようですが、この際、環境版SWOTや環境版5フォースをつくるのもいいと思います。(どのレベルで分析するかは、粗すぎず細かすぎず、ってところでしょう)
その分析シートをトップマネジメントに見せて、その後ファイルに綴じておけばOK。
というわけで、こういったことを文章にしてみた結果が、あのような難解な文章というわけです。