「いとなみ 森とともに生きる未来へ。その可能性に挑む若い世代が集う場所」 ―『SDGsのすごい会社』(扶桑社)から
いのちと・ともに・懐かしい・未来へ、この頭文字からなるNPO法人いとなみは、森の可能性に魅了された藤井芳広氏が福岡県糸島市に立ち上げた組織です。
若いころに「この社会はこのままでは存続しない」と直感的に感じた藤井さんは、受験勉強をやめ、サラリーマンや職業人になるといういわゆるフツーの生き方ではなく、自由に生きることを選びます。
そして、アルバイトや日雇いの仕事をしながら好きな映画を見て過ごす毎日を送ります。
そんな中、2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロに藤井さんは大きな衝撃を受けます。
その一年後には、持続可能な生活を真剣に考える中村隆市と藤村靖之の両名と出会い、「こんな大人になりたい!」と、社会課題を解決する活動に参加するようになります。
そんな藤井さんは、いま森に着目しています。
なぜなら、もともと森は人の生活にとってのエネルギー源というだけでなく、精神性や哲学と深い関わりをもっているからです。
そして、森と切り離された現代人の生活こそが、世の中を持続不可能にしている原因だと考えるようになります。
大切なのは、「森そのものを再生するのではなく、森とともに生きる暮らしの再生」「森を業として成立させるためのコミュニティの再生」。また、「森があるというだけで価値がある」と藤井さんは言います。
とはいえ今の資本主義社会においては、森にせよ農地にせよそれらは所有者の利益を生むために利用されることになります。
そんな、「不変的に存在する地球上の土地を、ごく一部の人間の一時的な目的によって乱開発される」ということに対して、藤井さんはナショナルトラストのような共同所有という形態で管理していくことを考えているそうです。
この話は昨日の投稿と深い関係があると思い、記事にしました。