「米高速炉計画 日本参加へ」 朝日新聞 2022.01.05 朝刊3面
―記事概要
アメリカの原子力企業(ビル・ゲイツが会長をつとめるテラパワー社による計画で、建設費約40億ドル、2028年完成目途)による高速炉の開発計画に日本原子力研究開発機構や三菱重工業が技術面で協力する。
高速炉は原発の使用済核燃料を再利用する中核施設で、日本では「もんじゅ」が廃炉している。
日本はこの計画に参加することで、核燃料リサイクルの維持を強調する狙いもある。
原発の稼働に関しては、EUが1月3日に温暖化対策の一助として既存の原発の運転期間延長を位置づける計画を明らかにしており、一定の条件下で原発や天然ガスを活用することは、「再生可能エネルギー社会への移行期にとって現実的な対応」との意向を示している。
しかし、これに対して反発する意見もEU内で起こっており、ドイツは「明確に拒否する」と述べ、オーストリアに関しては、法的措置も辞さない構え。
―コメント
カーボンニュートラルについては、昨年の秋に菅首相によって日本のスタンスが明確にされました。
既存のビジネスモデルからの転換が全然進まない産業界の状況と昨今の世界情勢を併せてみた場合、これくらいインパクトのある宣言をしないと重い腰は動かないとの判断でしょう。
実際それ以降、各社、各業界団体などが一斉に動き出した感もあるので、効果はあったと思います。
しかし現場レベルでみた場合、やはり「既存」「これまでのやり方」を前提としており、高い目標を掲げたとはいえ信憑性のあるバックデータや実効性のある施策が見えないのは、ビジネスモデルや産業構造の転換が進んでいない証拠だと感じます。
その結果、妥協的な措置として天然ガスの利用や原発の稼働延長といったことになっているのでしょう。
原発活用については今は是認されたとしても、産業構造や生活スタイルを早期に変革しいち早く訣別しないと、またどこかで事故を起こすのは必至。
使用済み核燃料の処分が滞っているようでは循環型エネルギーとも言えないですし。
まずはできることから変えていく。
そのためにも、個人や会社が「考える」ことをしないといけない。
「考える」というのにも手法があるので、その「考える」習慣をつけていくことが地道ながらも早道なのかも。