持続可能な未来に向けて

主にサステナビリティに関することを書いていきます。

ISO14001:2015 6.1.3 順守義務

6.1.3 順守義務

 

組織は、次の事項を行わなければならない。

 a) 組織の環境側面に関係した順守義務を特定し、参照する。

 b) これらの順守義務を組織にどのように適用するかを決定する。

 c) 環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善するときに、これらの順守義務を考慮に入れる。

 

組織は、順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

 

注記 順守義務は、組織に対するリスク及び機会をもたらし得る。

 

順守義務とは、法令や条例といった必須の順守事項のほかに、業界団体や所属団体の方針、自治体や地域との取り決めといったような、組織が「守る」と決めたルール全般のことです。

ここらへんは、2004年度版と同じ解釈です。

ただ、2004年度版では、Legal(法的)と other requirements(その他の要求)でしたが、今回は Complianceコンプライアンスとなっているので、意味合いが広義になったような気がします。

 

a)では、環境側面に関連して、組織が守るべき順守義務を決定することと、その順守義務を参照することを求めています。

 

ちなみに、2004年度版では、a)は次のように書かれています。

 

a)組織の環境側面い関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照する。

 

 おおむね要旨は同じように見えますが、今回の付属書Aでは法令以外に「近隣諸国の法令」、「規制当局による命令」、「裁判所または行政審判所の判決」、「NGOなどの非政府組織との合意」、「顧客との合意」、「組織の要求」、「行動規範」などが順守義務の対象として挙がっていて、グローバルというか多様な社会を反映した、いかにもコンプライアンス的な内容になっていることが覗えます。

 

”参照”は、原文では”access”となっているので、環境側面に関する法令などを確認するときなどには、関係省庁のホームページにアクセスして、そこから最新版を入手するような手順があれば大丈夫ということになります。

これについて手順を作るとしたら、「いつ」、「誰が」、「どのようにして(この場合は関係省庁のHPにアクセス)」、といったことを明記しておけばいいでしょう。

 

b)では、法令などの順守義務をどのように適用するかを求めています。

2004年度ではその対象を”組織の環境側面に”としていましたが、今回は”組織に”となっているところに違いがあります。

つまり、「どの法令」の、「どの条文」の、「どの文言」が、「どの環境側面(業務や製品など)」に関係しているのかを明確にしておけばよかったわけです。

しかし、今回は、「どの法令」の、「どの条文」の、「どの文言」が、「どの環境側面」に関係し、「どの部署(誰)」が管理を担当するのかを明確にする必要が出てきたということです。(ex.『順守事項一覧表』(筆者作成)の抜粋:下表)

下表でいうところの一番右端の欄が今回の改訂で必要になりました。 

 

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c)は2004年度版と同じですが、今回は”確実に考慮にいれること”の”確実に”が省略されています。

 

組織は、順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

”維持”ですから、常に最新の情報を閲覧できるようにしておくことが求められています。