「処理水『来春放出』不信なお」 朝日新聞 2022.01.30 朝刊1面
―記事概要
東京電力の福島原子力発電所では、解け落ちた核燃料(燃料デブリ)を冷やす水に雨水や地下水が混ざった高濃度の汚染物質を含む汚染水を多核種除去設備(ALP)によって除去したものを、タンクにて保管している。
しかし、このALPでもトリチウムは除去できないため、タンクに溜められたトリチウムを含む汚染水は、大量の海水で薄めて基準値以下の濃度になったことを確認したうえで海へ放出する計画だ。
東電によると、今ある1061基のタンクは23年春ごろに満杯になるという。
海への放出を遅らすために今後もタンクを増やし続けるとすると、廃炉作業の方に影響が及び期限内での廃炉が間に合わなくなるため、菅政権時代に海水で希釈し放出する方針が決まった。
政府は、風評被害を懸念する地元の漁業関係者や中国、韓国からの放出反対の意見を払拭するため処理水の安全性に「お墨付き」を得ようと国際原子力機関(IAEA)に調査を依頼したが、新型コロナウイルスの感染拡大で調査団の来日に目途が立たない。
今年はじめから着工するはずだった海底トンネル工事(汚染水を海底トンネルによって1キロ沖合に流す工事)もすでに遅れており、23年春の放出が計画通りにいくか不透明な状況だ。
―コメント
放射性廃棄物(汚染物質)の問題は未だ解決の糸口が見えず。
そんな中、カーボンニュートラルに向けて原発は必要不可欠との判断を日本だけでなくヨーロッパも下しました。
原発が稼働する以上は事故発生のリスクは存在し続けます。
事故が起こらないことを祈っていても、いつかどこかで実際に事故は起きます。
ただ、風評被害は余分な被害です。
少なくとも、3.11の事故も含め、放射能や放射性物質が生態系に与える影響を正しく説明し、科学的根拠にもとづいた判断結果を示すことで、風評被害はいくらかましになるのではないでしょうか。
今はどの情報が正しいのかもわからないし、説明される我々の側にも知識がないから判断できない。
国や東電に対する不信感から感情的に反対する人も多いと思います。
「どうする?」の前に、「どういう状況なの?」といった部分をしっかりと認識する必要があるんでしょうね。
ただ、それをリードするべき「国」がまったく信頼されてないのは困ったことですが・・・