持続可能な未来に向けて

主にサステナビリティに関することを書いていきます。

自治体とコラボして

市役所の人たちと懇親会をしました。

 

少し前の5月、市と地域とが共同でつくる廃校のプールを利用したビオトープの補修に、私の会社が協力しました。

そのメンバーでの懇親会というか、打ち上げというか、そんな意味合いで飲み会を行いました。

もちろん、これはまったくのプライベート。

利害なしの個人的なつながりでの飲み会です。

 

山間部の集落にある明治時代から続く小学校が、数年前に廃校になりました。

聞くところによると、そこは限界集落の一歩手前まできているそうです。

ただ、村にあるこの小学校は、代々この村の人が通ってきた学校です。

村の誰もがそれぞれに思い入れをもっている、いわば人格の基盤を形成した場所でもあるわけです。

そして、何かあると皆が集まり、集まってきた場所。

そんな学校が、定数割れしたからといってあっさりと消えてなくなるのは忍びない。

そういう思いを行政が支援するカタチで、今でもイベントスペース的に積極的に活用しようとしています。

 

廃プールを利用したビオトープもその一環。

ただ、維持するための予算にはなかなか厳しいものがあり、壊れたからといって早々に改修工事ができる状況ではありませんでした。

廃材などを利用してなんとかカタチにしてきたわけですから。

 

私は昨年から、市の環境への取り組みを外部監査する「環境計画評価会議」の委員をしています。

昨年の秋に行った監査で、このことを指摘したのです。

「費用面で困っているのであれば、企業の助けを借りたらどうですか?」

今、企業は、社会の要請もあってCSR活動のネタ探しに必死です。

そこを狙って、市から企業に提案しない手はありません。

 

指摘をして数ヶ月後、さっそく私の会社に連絡があり、それに応じたのが今回の改修工事です。

この支援はさっそく市のHPに紹介されました。

当然、私の会社内でもイントラネットを通じて全従業員向けに紹介。

 

金額にしては大したことありません。

しかし、それ以上に、休日を利用して市や地域の方々と一緒になって改修したことが成果だと思います。

 

飲み会の最後には、

「またネタを探して一緒に何かしたいですね!」

と言いあって解散しました。

 

おそらく、ネタはたくさんあります。

ただ、困ってる人と支援したいと思う人との出会うきっかけがないだけだと思います。 

こういった取り組みをきっかけに市内の企業と行政、それに地域社会とが協力し合って、街に活力を吹き込み、企業価値と同時に街の価値向上を進めていきたいですね。

 

 

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ISO14001:2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待

4.2 利害関係者のニーズ及び期待

 

組織は、次の事項を決定しなければならない。

 a) 環境マネジメントシステムに関連する利害関係者

 b) それらの利害関係者の、関連するニーズ及び期待(すなわち、要求事項)

 c) それらのニーズ及び期待のうち、順守義務となるもの

 

 

この項も文書化の要求はありません。

事務局やスタッフの人たちの頭の中での認識でOKです。

ただ、これも4.1と同じように、何かメモ的なのでもあったほうが無難です。

 

では、内容をみていきます。

 

a)では、利害関係者の特定について言ってます。つまり、EMSを運用する上で関係するであろう顧客やユーザー、取引先、株主や投資家、従業員、地域住民、役所などの行政、業界団体のことです。

そして、b)では、それら利害関係者が自分たちに何を求め、期待しているのかを把握する。

また、c)では、b)の中で遵守義務に絡むもの、つまり法令に関係するものを把握しておくことを求めています。

 

おさらいすると、この項は、EMSの運用が独りよがりになることを警戒して、それを戒めるような内容になっているともいえます。

持ちつ持たれつの共存共栄の社会を目指し、その中で社会の公器として優良企業を社会全体で育てていくためにも、関係者を明確にし、それらのニーズと期待を把握しなければならないということです。

ただし、把握するといっても、アンケートをとったり直接ヒヤリングしたりと、そこまでする必要はなさそうです。(審査機関に確認しました)

 

ですから、事務局やトップマネジメントの中で共通認識をもっておく程度でいいと思います。

 

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 このような通知書を出して全社的な意思統一を図れば、まずは問題ないと思います。

 

内部監査員教育をしました その1

内部監査員教育をしました。

今回は、内部監査経験者に対する2015年度版への対応のための教育です。

13時から17時までの4時間の間に、規格の改定ポイントをメインにした講義と、ちょっとした監査演習を行いました。

はっきりいって、これだけで監査ができるとは思えませんが、だからといって、もっと時間をかけたところで結果は似たようなものだと思います。

幸いにして大きな環境負荷や環境リスクを抱えているわけではないので、内部監査の実践を通してボチボチ理解していけばいいでしょう。

ただ、そうはいってもキーとなる部門については心配なので、私も監査に動向するつもりです。

 

それにしても、ISO監査は難しいです。

以前はISOの知識を広く習得させる意味もあって、内部監査員をどんどん育成してましたが、年に一度の内部監査のときにだけISOに触れてるようでは理解は深まりっこありません。

年とともに内部監査経験者の数は増えるけど、毎年毎年素人監査を繰り返すばかりで、監査ごっこのような茶番監査が、かえってISOの印象を悪化させていたように思います。

 

2015年度版への改定を機に、内部監査のあり方を見直すべきですね。

もともとある内部監査部門にISO14001の内部監査も面倒みてもらって、監査員も少数精鋭で質を重視した監査に切り替えていきたいです。

だって、J-SOXの「全社統制」の監査なんて、ISOと似たようなことしてるんですから。

監査側からも、全社のマネジメントシステム統合に向けて働きかけるのもいいと思います。

 

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ISO14001:2015 4.1 組織及びその状況の理解

4.1 組織及びその状況の理解

 

組織は、組織の目的に関連し、かつ、その環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない。こうした課題には、組織から影響を受ける又は組織に影響を与える可能性がある環境状況を含めなければならない。

 

 

この4.1は、短いながらも難解です。

書いてることはわかるんだけど、いざ、これをもとに仕組みを作るとなると、何をしていいのかわからない。

ただ、唯一の救いは、文書化の要求がないということ。

ですから、この4.1については、トップマネジメントや事務局といったシステム上のキーマンの頭の中で対応すればいいわけです。

とはいえ、さすがにそれでは審査のときに困るので、キッチリと整理せずともある程度はメモ的に残しておくべきでしょう。

 

ではここで、規格の文章を平たい文章で言い換えてみます。

 

会社などの組織は、経営理念や経営方針から落とし込まれた長期や中期の経営計画、その経営計画の中の環境に関する部分について、その目標の達成に影響を与えるであろう外部と内部の課題を決定しなければならない。課題を決定するにあたっては、社会環境(自然環境や経済環境など)の変化、事業環境の変化によって生じる環境影響も含まなければならない。

 

 

こうしてみると、いくぶんわかりやすくなったのではないでしょうか?

 

この要求に応えようとするなら、環境に関連した項目が経営計画に挙がっていることが前提となるのがわかります。逆にいうと、汚染予防にそれほど気を使う必要がなかったり、環境保護や環境改善に向けた取り組みを経営戦略に組み込んでいない場合は、あえてISO14001に取り組む必要はないわけです。

「ウチは事務が主体だから環境汚染はあまり意識しなくていい」

「省エネして経費を圧縮していくのは大事だけど、そもそも使う量がしれてるし・・・」

というところがムリにISO14001に取り組もうとすると、目的意識も薄く組織のマインドも低いわけですから、結果的にはISO14001の活動そのものが目的になって、“しくみに振り回される”ということになってきます。

「なんでISOやるの?」

「トップが言うからしょーがないだろ」

「めんどくせーなー」

となって、審査前に

「こんなことして意味あるの?」

といいながらバタバタと帳尻合わせの書類を作るわけです。

 

本題にもどります。

では、具体的にやることをみていきます。

 

経営戦略の中の“環境戦略”について、その目標達成を阻害する要因を考えます。

その際に、気候変動、人口変動、為替変動、政策による経済環境の変化、ライバル企業の動向、業界の動向、社員の高齢化、設備の老朽化、近隣住民の声、自治体の動き、そういったものが環境戦略にどのような影響を及ぼすかを、あらかじめ話し合っておくことです。

SWOT分析や5フォース分析を使う企業もあるようですが、この際、環境版SWOTや環境版5フォースをつくるのもいいと思います。(どのレベルで分析するかは、粗すぎず細かすぎず、ってところでしょう)

その分析シートをトップマネジメントに見せて、その後ファイルに綴じておけばOK。

 

というわけで、こういったことを文章にしてみた結果が、あのような難解な文章というわけです。