持続可能な未来に向けて

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「CO2排出削減分 企業で売買 日本版取引23年度から」 朝日新聞 2022.02.02 朝日新聞朝刊7面

―記事概要

 

再生可能エネルギーの導入などで減ったCO2排出量を企業間で売買する「日本版排出量取引」が2023年度からスタートする。

いずれは、欧州のように、企業ごとに排出量の上限を決めるような仕組みも想定される。

経産省が発表した「GX(グリーン・トランスフォーメーション)リーグ」の基本構想では、参加企業が2030年度削減目標を設定すると同時にカーボンフットプリントなどを進め、進捗状況を毎年公表する。

また、目標を上回った分を不足している企業にクレジットとして売ることができる「カーボン・クレジット市場」も創設を進め、22年秋には実証試験、23年4月以降の運用開始を目指す。

欧州ではすでにこのような取組みが始まっており、環境規制の緩い国からの輸入品に事実上課税する「炭素国境調整措置」も検討している。

これに日本が対応できなければ国際的な競争力を失う恐れから、経産省は脱炭素化の取組みを加速させたい考えだ。

 

 

―コメント

 

CO2排出に対して外堀が埋められつつあります。

多くの場合、CO2排出量の削減はグリーン電力へ切り替えることで対応しようとしているのではないでしょうか。

企業内でこれを担当しているからよくわかります。

一般的にCO2排出量の削減は、①省エネ、②石油系燃料やガス由来の設備を電化する、③電力を再エネ由来のものへ切り替える、④創エネ、⑤カーボンクレジットの売買、といった取り組みになるのではないでしょうか。

中でも、一番手っ取り早いのが③の再エネ由来電力への切り替え。

お金さえ払う覚悟があれば自ら努力しなくてもCO2は減らせます。

①の省エネは、設備での省エネは多くの企業ですでにやり尽くした感がある。

作り方や業務の改善による省エネは、部門を越えた連携が必要となるからなかなか進まない。

②の設備の電化は、電化することで仕事のやり方が変わったり物理的に不可能な場合があるから厄介。

こういう状況だから、⑤のカーボンクレジットが可能になれば多くの企業が群がることは必至。

つまり、体質改善をしない企業、体質改善ができない企業にとっては、他力本願的な施策に飛びつきたくなりますが、電力調達コストが高騰するためすぐに経営が立ち行かなくなるでしょう。

こういう事態に追い込まれないと体質改善ができないというのは、すごく悲しいですね。