「人権尊重 企業価値評価の潮流に」 朝日新聞 2022.02.12 朝刊4面
―記事概要
日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア研究所、世界銀行、朝日新聞社が主催するシンポジウムで、人権に関する国際的な潮流と企業価値について専門家たちが意見を交わした。
その中で、人権への取組みを真剣に捉える企業と表面的な理解にとどまる企業に二分されることや、日本は歴史的な経緯もあって人権を狭くとらえる傾向にあることなどが意見としてでた。
政府は2020年10月に「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定したが、企業の動きは鈍い。これに対して経団連の長谷川知子氏は、「国際的に認められた人権の内容と行動計画の理解が進むよう、政府も注力してほしい」と、また世界銀行のカルロス・ブリート上級社会開発専門官は、「環境や人権に配慮する仕組みはあっても実行しなければ意味がない。企業には説明責任が伴う」と述べた。
―コメント
一昨年の秋に当時の菅首相が2050年カーボンニュートラルを宣言しました。
これには業界も機敏に反応し、業界団体などが会員企業に対して温室効果ガスの削減目標の公表を求めるなど、具体的な施策に落とし込んで圧力をかけています。
一方、人権については後回しになっているのか、まったく何も言ってこないのが実情です。
当然、企業としても真剣には捉えていない。
焦っているのは、企業の中でもサステナビリティに関連する部署だけではないでしょうか?
その理由は、人権に対してあまり知識がないことだと思います。
人権問題を被差別部落の問題くらいしか考えておらず、サービス残業やジェンダーの問題が人権に繋がっているとは思っていない人が多い。
その裏には、高度経済成長での成功体験(?)によって「従業員は会社と一心同体」といった意識が根付いたこと、また終身雇用などの制度によって従業員と会社が主従関係になってしまったことがあると思います。
つまり、個人よりも会社、個の幸せよりも会社の成長を優先することで会社は従業員を守ってくれた。
一方、庇護が強かったことで従業員の自立心が育たなかった。
そういったことが日本企業の人権意識の希薄さの原因の一つだと思います。