持続可能な未来に向けて

主にサステナビリティに関することを書いていきます。

岸田首相の施政方針演説

―要約

 

1.はじめに

コロナ禍に対して、この苦難を乗り越えコロナ後の新しい日本を国民と共に創り上げていく。

 

2.コロナウイルス対策

オミクロン株をはじめ未知のウイルスに対して過度に恐れることなく、科学的な知見を活かしながら適切に対応することと、経口薬の早期普及、病床逼迫に対する準備、経済においてはBCPやテレワークによるリスク対応などを推進する。

 

3.新しい資本主義

市場に依存しすぎて公平な分配が行われなかったことによる「格差や貧困の拡大」、市場や競争の効率性を重視しすぎたことで生じた「中長期的な投資の不足」、行き過ぎた集中による「都市と地方の格差」、自然に負荷をかけすぎたことで深刻化した「気候変動問題」、分厚い中間層が喪失したことによる「健全な民主主義の危機」、このような新自由主義的な考え方が生んださまざまな弊害を乗り越え、持続可能な経済社会変革を進めていく。

そのために「成長戦略」「分配戦略」を資本主義の中に埋め込み、資本主義のもたらす便益の最大化を図る。

その主役は地方であり、「デジタル田園都市国家構想」を強力に推進する。

そして、経済の安定化のための強靭なサプライチェーンの構築イノベーションを促すための官民連携、経済の基礎ともいえる「所得」を増やすための賃上げ、資本主義の核をなす人的資本の強化、次世代を担う中間世代を育成するための中間層の維持、これらを柱に経済社会変革を進める。

 

4.気候変動問題への対応

温室効果ガスの2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラル、これら温暖化対策として投資を、少なくとも倍増させる。具体的な取組みについてはクリーンエネルギー戦略でまとめる。

 

5.全ての人が生きがいを感じられる社会へ

「女性」「孤独・孤立」「少子化対策・こども政策」「消費者」の視点で政策を推し進め、すべての人が生きがいを感じられる多様性が尊重される社会の実現をめざす。

 

6.地域活性化

デジタル以外の地域活性化として、農林水産品の輸出促進、農林水産業の保護、観光産業の高付加価値化などを推進する。

 

7.災害対策

福島復興は政権の大きな課題。

いち早い復興を実現すると同時に世界の課題解決にも貢献する。

また、南海トラフ、都市直下型地震、千島海港沿いの巨大地震、風水害、豪雨など想定される巨大災害へ備える。

 

8.外交・安全保障

新時代のリアリズム外交を目指す。その柱は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視すること。

また、「自由で開かれたインド太平洋」の推進、地域の平和と安定のための近隣外交、気候変動やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成といった地球規模の課題にも取り組む。

それだけでなく、北からのミサイル攻撃、軍事バランス、宇宙、サイバーといった新領域からの脅威にも備える。

 

9.憲法改正

開かれた場での議論を歓迎し、現実的に検討する。

 

10.おわりに

国土交通省の統計の不適切処理についてのお詫び。

国民の声なき声に丁寧に耳を傾け、「信頼と共感」の政治に向けて「己を改革する」気持ちで臨んでいく。

 

 

―コメント

 

方針演説ですから、内容はよく吟味されたものになっています。

また、あらゆる方面に対しての配慮も忘れていません。

「新しい資本主義」の部分については、現状の分析がわかりやすく表現されています。

これらの方針の達成に向けて、まさに官民が一体となって推進していかなければならないのですが、首相から末端の国民までには良くも悪くも多くの階層が存在します。

階層の弊害を乗り越え方針を末端まで浸透させるための工夫が大事ですね。

これには、最近の企業経営で注目されている、「ミッション・ビジョン・バリュー」といった考え方が参考になるのではないでしょうか。